主たる調査地として気仙沼地区を選んだ。その理由として、a) リアス式海岸の典型的な地域の1つであり、大きな津波が到来したこと、b) 湾口に大島が控えており、汚泥についても外洋由来と湾内由来の比較が可能と期待されること、c) 気仙沼市は水産加工業や造船業が盛んであり、産業地区と農業地区の比較が可能であること、d) 震災前に採取したヒト生体試料および環境生物試料との比較が可能であること、があげられる。さらに、東北大学は、8年前より現地で疫学調査を進めており、自治体や医療機関、漁協、商工会議所およびマスコミとの連携が可能であった。円滑な調査実施が期待されたことが挙げられる。なお、調査に際しては、気仙沼市環境課と協議を行いつつ調査を進めた。
環境試料として陸上および海底の底泥を採取するとともに、海岸にて環境生物試料として二枚貝を採取し、化学分析に用いた。当初の採取計画の例を示す。
図.気仙沼市内における環境試料採取候補地の例。津波被災区と非被災区(対照区)について、それぞれ採取し比較した。