津波による甚大な被害を受けた沿岸部では船舶燃料油タンクの損壊、石油コンビナートの火災,火力発電所の重油タンクの破損等に起因する油流出が生じた。特に、気仙沼湾では流出した燃料油が湾上で炎上した。このため底泥は悪臭を有し、化学的な性状も不明であり、醜悪な様子であった。
図.気仙沼市内の津波被災区とその近くの高台で採取された土壌試料の様子。津波汚泥である底泥は、悪臭を有し、嫌気的腐敗が起こっていた。このまま乾燥し飛散した場合に、その化学的性状などが強く懸念された。
この津波堆積物である底泥から石油関連物質が高いレベルで見いだされた。底泥採取地の近くの高台で採取された土壌との比較を示した。
図.震災直後(2011年6月)に採取した津波汚泥または対照区の土壌から検出された物質について
底泥中の石油関連物質について、時系列でモニタリングすると、時間とともに低減する傾向が観察された。
図.石油関連物質の時系列的な濃度変動